< 第68回 賃貸物件に入居する際の費用と注意点(不動産の初期費用)
記事のポイント
- 定期借家契約は、2000年3月1日から施行された制度である
- 定期借家契約は、入居者が決まりにくいというデメリットがある。
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定期借家契約とは?
賃貸借契約には、「普通賃貸借契約」と「定期建物賃貸借契約」の2種類があります。2000年3月1日から施行された定期借家契約は、一時的に住宅を借りたい人が、一定期間だけ借りることができる契約です。
定期借家契約の場合、賃貸借契約書とは別に、「更新することなく期間満了により終了する旨の合意書」などの書面が必要となる。賃貸借契約書とは別に説明のための書面がない場合は、通常の賃貸借契約とみなされます。
定期借家契約と普通借家契約の違い
定期借家契約には、賃貸人が部屋を借りやすくなるというメリットがあります。普通賃貸借契約では、一度部屋を貸したら、借主を追い出すことはできません。一時的に貸したいと思っても、賃借人から退去の申し出がない限り、自分で使うことはできません。例えば、海外赴任のために3年間だけ家を借りたいという人が定期借家契約で借りた場合、日本に帰ってきたらまた自分の家に住むことができる。
定期借家契約の中途解約について
定期借家契約であっても、広さが200㎡未満で居住用であれば、やむを得ない事情(転勤、療養、親の介護など)で居住を継続することが困難な場合は、契約の中途解約が可能です。また、中途解約可能特約を締結することも可能です。
定期借家契約のデメリットは何ですか?
定期借家契約は契約期間が決まっているため、通常の物件に比べ、入居者が決まりにくいという特徴があります。つまり、賃料が安くないと入居者が決まりにくいというデメリットがあります。また、定期借家契約を結んだ借主は、転勤ややむを得ない事情など特約がない限り、契約を解除することはできません。つまり、借主にとってもデメリットがあるわけです。
例えば、借主が家賃を滞納しがちなトラブルメーカーだったとしても、普通借家契約では簡単に契約を解除することができません。そこで、最初から定期借家契約を結んでおくことで、借主に問題があっても期間満了時に契約を解除することができるのです。もちろん、借主に問題がなければ、貸主はもっと長い期間貸したいと思うはずです。そのような場合、貸主は「定期借家契約であるが、契約は更新できる」と説明することで、期間を延長することができます。
契約形態一覧表
契約形態 | 普通借家契約 | 定期借家契約 |
---|---|---|
契約期間 |
1年以上 ※期間が短い場合は、期間の定めのない契約とみなされる。 |
期間の定めのない契約 |
更新の有無 | 更新可能 |
契約終了 ※再契約が可能な場合もある |
中途解約 | 可能 |
原則不可 ※200㎡未満の住宅で、やむを得ない事情がある場合。 |
契約書等 | 口頭で作成可能。 | 別途、書面での契約とし、更新しない旨を記載した書面が必要。 |
契約解除の通知等 | 契約期間満了の1年前から6ヶ月前までに、更新しない旨の通知が必要です。よほどの理由がない限り、賃貸人は契約更新を拒否することができません。 | 契約期間満了の1年前から6ヶ月前までに、契約を終了する旨の通知が必要です。 |
結論
- 定期借家契約と別段の取り決めがない場合は、通常の賃貸借契約とみなされる。
- 定期借家契約では、賃貸人は期間満了時に契約を終了させることができる。
- 通常の賃貸借契約では、賃貸人は容易に契約を終了させることができない。