<<第17回:公的年金の基本と遺族が受け取れる年金【国民年金・厚生年金・共済年金】
ここが大切!
- 年金受給者が死亡したら年金受給停止の手続きを。
- 国民年金は死亡後14日以内、厚生年金は死亡後10日以内。
- 未支給年金の請求も忘れずに。
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まずは年金の受給停止を期限内に行う
故人が国民年金や厚生(共済)年金を受給していた場合(原則として65歳以上)、まず受給停止の手続きをする必要があります。手続きをせずに遺族が故人の年金を受け取ると、後日、過払金返還請求書が届きます。年金受給停止の期限は、国民年金は死亡後14日以内、厚生年金(共済年金)は10日以内です。忘れてしまわないように注意しましょう。
年金は年6回、偶数月の15日に支給されます。
年金の受給停止手続きは、年金受給権者死亡届を提出することで行われます。ただし、日本年金機構に住民登録コードを登録している人は、原則としてこの届出をする必要はない。住民登録コードの届出は義務ではありませんが、届出により住民基本台帳ネットワークから住所変更などの情報を得ることができるため、死亡の届出も不要になりました。
年金受給権者死亡届は、故人の年金証書、死亡診断書などの書類を添えて、年金事務所や年金相談センターなどに提出します。年金受給権者死亡届の用紙は、日本年金機構のホームページからダウンロードすることもできます。
故人が障害基礎年金のみ受給していた場合は、年金受給権者死亡届は市区町村の役所に提出します。
故意でなくても年金の過払いは返還義務あり
年金受給者が亡くなったにもかかわらず、遺族が受給停止を届け出ることなく、故人の年金を不当に受け取っているケースがあります。このように故意に年金を受け取っていた場合、当然ながら払い過ぎた年金を返還しなければなりません。
そうした悪意ではなく、死亡届を出し忘れたなどのミスで過払いが発覚するケースも少なくありません。このような過払い金の返還義務は、戸籍上の配偶者、子、父母、孫、兄弟姉妹の順で負うことになります。
年金の未払いがある場合は未支給年金の請求を
未支給年金の請求手続きは、年金の受給停止手続き(年金受給者死亡届)と同時に行うことになります。
年金は偶数月に2ヶ月ごとに支払われ、後払いであるため、死亡時に受け取っていない年金(未支給分)がある場合があります。例えば、4月に支給される年金は2月分と3月分であり、4月に亡くなった場合、年金を受け取る権利は4月までであり、4月分は6月に支払われるため、亡くなった方に支払う手段がありません。そこで、4月分の未支給年金(未支給年金)を請求することになります。
未支給年金は、亡くなった方が年金の受給資格期間を満たしていたにもかかわらず、年金を受け取っていなかった場合にも支払われますので、年金事務所に確認することが必要です。
未支給年金を請求できる人は、故人と生計を同じくしていた人で、①配偶者(受給権者と事実婚関係にあった人を含む)②子③父母④孫⑤祖父母⑥兄弟姉妹⑦その他3親等のおじ・おば・・・・という優先順位になる。また、未支給年金の受給順も同様です。
同順位の者が2人以上いる場合、1人の請求は全員分の満額請求とみなされ、1人に支払われた年金は全員に支払われたものとみなされます。つまり、同順位の人が2人以上いる場合は、そのうちの1人が他の人を代表して請求し、受け取った未支給年金は残りの人で均等に分配されることになります。
未支給年金の受給手続きは、「未支給年金・保険給付請求書」の提出が必要です。この請求書は、年金受給権者死亡届とセットになっているので、2つの手続きを同時に行うことができます。
手続きの期限や場所は年金受給停止手続きと同じですが、提出する書類は同じ手続きで必要なものに加え、亡くなった方の住民票(除票)、請求者の世帯全員の住民票など、提出するものが増えます。下記の一覧表をご確認ください。
この手続きが完了すると、数ヵ月後に請求者に通知され、請求者の指定口座に振り込まれます。
公的年金受給停止および未支給年金請求の手続き
申請者 | 故人と生計を共にしていた人(同順位者が2名以上の場合は、そのうちの1名が代表して申請する。) |
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提出先 | 故人の居住地の年金事務所、あるいは所轄の年金相談センター |
必要なもの |
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期限 | 国民年金は死亡日から14日以内、厚生年金は死亡日から10日以内 |