<<第26回:【相続の基本】特別受益者との公平を保つために【生前贈与・みなし相続財産・持戻し】
ここが大切!
- 被相続人に貢献した相続人は寄与分を主張できる。
- 寄与分は相続人同士で協議して決める。
スポンサードリンク
特別の貢献をした相続人に寄与分を与える
特別受益の制度に加え、相続人間の公平性を保つための調整制度として寄与分という制度があります。
寄与分とは、被相続人(亡くなった人)の財産の増加や維持に特別な貢献や寄与をした相続人に対して、その貢献や寄与に相当する金額を上乗せして支給される金額のことをいいます。
例えば、個人事業を営んでいたAさんが亡くなり、長男と次男がその事業を相続したとします。長男は父であるAさんと一緒に一生懸命働いて事業に貢献していたのに、次男は家を出てサラリーマンになり、ほとんど家に帰らなかったとしたら、法定相続分に従って財産を分割すると、長男に不公平が生じます。そこで、家族に貢献してきた長男は、自分の相続分以上の財産を得るために寄与分を主張する。
このように、寄与分はその人である相続人の主張から始まります。
この「寄与分」は特別なものでなければならず、夫婦間や親子間の通常の助け合いは対象外である。寄与分が認められるのは、次の3つに該当する人です。
- 被相続人の事業に大きく貢献し、その財産を増加させた。
- 被相続人の財産の維持に努めてきた。
- 被相続人の介護援助を長年続けた。
特別な貢献かどうかの判断材料としては、貢献の無償性、長期にわたる継続性、パートタイムではなくフルタイムで貢献したことなどが重要です。
寄与分を請求できるのは相続人のみ 相続人でない内縁の妻や事実上の養子が、事業資金を提供するなどして被相続人に貢献していたとしても、相続財産から寄与分を受け取ることはできません。
寄与分は相続人同士で協議して決める
寄与分は、相続人同士の合意で決まります。実務では、相続人全員で遺産分割協議を行い、寄与分を考慮して遺産を分割します。協議がまとまらない場合は、寄与した人が家庭裁判所に調停や審判を申し立てて、寄与分の額を決めてもらうことになります。
寄与した相続人がいる場合、まず相続財産から寄与分を差し引き、残りを法律で定められた、または指定された相続分に従って分割します。そして、寄与した相続人にその寄与分を加算します。
寄与分が認められるのはどんな時?
寄与分がある場合の相続分の計算例
>>第28回:【3ヵ月以内】遺言書の有無を確認する【自筆証書遺言・家庭裁判所の検認・検認申立書・検認済証明書・公正証書遺言】