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失業保険の受給資格|雇用保険の失業手当【手続き・条件・期間】

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失業保険の受給資格「条件」や「手続き」は?

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失業保険」の貰い方について、解説していきます。

会社を「自己都合で退職」したり、「解雇などの会社都合で退職」した場合は、様々な手続きを、定められた期日、または期間内に行うことによって、「雇用保険の基本手当(失業手当)」を受け取ることが可能になります。

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働いている時は、あまり意識はしないのですが、日本の「雇用保険制度」には、大きな「4つの目的」があります。具体的な説明に入っていく前に、まずは、「雇用保険制度」とは、一体、どういうものなのかを、しっかり確認しておいてくださいね。

雇用保険制度の「4つの目的」

  1. 働く人が、万が一、失業してしまった場合に、必要な給付を行って、生活の安定を図り、1日も早く再就職できるよう支援する
  2. 定年後の再雇用、育児休業、介護休業により、賃金が低くなる、または、賃金がなくなってしまう時に、必要な給付を行って、仕事を続けられるよう支援する
  3. 自分自身の働く能力を伸ばす取り組みを支援する
  4. 働く人々が、能力に合った仕事に就き、安心してその仕事ができるように、失業の予防や仕事をする能力の開発・向上などを支援する

今回は、上の「4つの目的」の中でも、特に「1番」の為の給付(基本手当、再就職手当)を中心に、「失業保険」とも言われる、この「求職者給付」の「受給資格」や「貰い方(受け取り方)」、「手続きの仕方(申請方法)」、「受け取れる期間(受給期間)」、「受け取れる金額の計算方法」などを、なるべく丁寧に、分かりやすく解説していきたいと思います。

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ハローワークとは?

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ハローワークとは、「公共職業安定所(こうきょうしょくぎょうあんていじょ)」のことで、厚生労働省が管理する「国の機関」です。国によって運営されているため、民間の職業紹介事業者とは区別されます。また、ハローワークは、民間の職業紹介事業者では、就職へ結びつけることが難しい就職困難者を中心に支援する、最後の「セーフティネット」として、全てのサービスが無料で受けられます。ハローワークでは、地域の総合的雇用サービス機関として、「職業紹介」はもちろん、「雇用保険」などの業務を一体的に実施しており、失業保険(基本手当、再就職手当)の手続きを行い、受け取る窓口としての役割も担っています。

つまり、会社を退職した人たちが、「雇用保険(失業保険)」を貰う場合、まずは、「自分が住んでいる所のハローワーク」に、雇用保険の申請をしに行き、手続きを行う必要があるということを、覚えておいてください。

ハローワークの業務・役割

  1. 仕事についての相談
  2. 求人情報の提供
  3. 希望の会社への紹介&仲介
  4. 就職支援セミナーの開催
  5. 失業保険(雇用保険)などの給付
「ハローワーク」って、厚生労働省が管理する「国の機関」なんだね。知らなかった。雇用保険の失業手当の手続きは、あなたが住んでいる地域の「ハローワーク」で申請するのよ。間違えないでね。

キューピーちゃん

雇用保険(失業保険)の受給資格

退職には「自己都合退職」と「会社都合退職」の2つがあります。

「自己都合退職」とは、自分の意志で退職することを言い、退職理由としては、「転職」「結婚」「出産」「転居」「病気療養」などが挙げられます。

一方、「会社都合退職」とは、会社から求められて退職することを言い、退職理由としては、「倒産」「解雇」「リストラ」「早期退職制度の利用」「会社が退職するように促した退職勧奨」などが挙げられます。

退職後に、失業保険(失業手当)をもらうためには、「自己都合退職」か「会社都合退職」かを、ハローワークが確認し、以下に定められた「基本手当の受給資格」に、当てはまっている人でなければ、失業保険は受給させてもらえません。

「自己都合退職」でも「会社都合退職」でも、「受給資格」は、普通に働いていた人であれば、それほど厳しい条件ではありませんので、「正社員」として働いていた人なら、ほとんどの人が、クリアできる条件だと思います。

ただし、「契約社員」や「アルバイト(パート)」として働いていた人の場合は、「出勤日数(賃金が支払われた日)」が、ひと月で11日以上を越えている月が、「自己都合退職の場合は12ヵ月以上」または、「会社都合退職の場合は6ヵ月以上」あったかどうかを、確認しておく必要があると思います。

失業保険(基本手当)の受給資格

  1. 原則として「離職の日以前の2年間で、12ヵ月以上、被保険者期間がある人
  2. 倒産・解雇などによる離職の場合は「離職の日以前の1年間で、6ヵ月以上、被保険者期間がある人
  3. 期間の定めのある労働契約が更新されなかったこと、その他やむを得ない理由による離職の場合は「離職の日以前の1年間で、6ヵ月以上、被保険者期間がある人

被保険者期間とは?

被保険者期間とは、簡単に言うと「雇用保険に加入していた期間」のことで、失業保険(基本手当)を受給する時に、もっとも基本となる期間です。

被保険者期間の計算方法

雇用保険の被保険者であった期間のうち、離職日からさかのぼっていった、1ヵ月ごとの期間において、賃金支払いの基礎となった日数が、11日以上ある月を「1ヵ月」と計算します。

例:「会社都合退職」で離職日以前の1年間で8ヵ月の被保険者期間がある人

勤務月 出勤日数 被保険者期間
1月 20日
2月 19日
3月 20日
4月 20日
5月 22日
6月 20日
7月 10日 ×
8月 10日 ×
9月 15日
10月 15日
11月 10日 ×
12月(離職日=12月末日) 10日 ×

自己都合で退職した人

「自己都合退職」に当てはまる人は、基本的に「①の条件」である「離職の日以前の2年間で、12ヵ月以上、被保険者期間がある人」という受給資格をクリアしていなければ、「失業保険(失業手当)」を、もらうことが出来ません。

会社に勤めていた時に、毎月、雇用保険を支払っていた人で、なお且つ、離職日より以前の2年間のうちで、12ヵ月以上(1年以上)の被保険者期間がある人

被保険者期間=「会社から賃金が支払われた日数が、ひと月の内に11日以上ある月を1ヶ月と試算」⇒「この被保険者期間が、離職日以前の2年間で、12ヵ月(1年)以上ある人」は、受給資格をクリアしている人です。

会社都合で退職した人

「会社都合退職」に当てはまる人は、基本的に「②や③の条件」である「離職の日以前の1年間で、6ヵ月以上、被保険者期間がある人」という受給資格をクリアしていなければ、「失業保険(失業手当)」を、もらうことが出来ません。

会社に勤めていた時に、毎月、雇用保険を支払っていた人で、なお且つ、離職日より以前の1年間のうちで、6ヵ月以上(半年以上)の被保険者期間がある人

被保険者期間=「会社から賃金が支払われた日数が、ひと月の内に11日以上ある月を1ヶ月と試算」⇒「この被保険者期間が、離職日以前の1年間で、6ヵ月(半年)以上ある人」は、受給資格をクリアしている人です。

特定受給資格者とは?

「特定受給資格者」とは、「会社都合退職者」の中でも、倒産・解雇などの理由により、再就職の準備をする時間的余裕がなく、離職を余儀なくされた人のことです。

「特定受給資格者」「特定理由離職者」に該当するかどうかの判断は、離職理由により、「ハローワーク」が行います。離職理由の判定は、事業主が主張する離職理由と、離職者が主張する離職理由を把握し、それぞれの主張を確認できる資料(離職票や求職申込書)による、事実確認を行った上で、最終的にハローワークが慎重に行います。

特定理由離職者とは?

「特定理由離職者」とは、「会社都合退職者」の中でも、特定受給資格者以外で、期間の定めのある労働契約が更新されなかったこと、その他、やむを得ない理由により離職した人のことです。

「特定受給資格者」「特定理由離職者」に該当するかどうかの判断は、離職理由により、「ハローワーク」が行います。離職理由の判定は、事業主が主張する離職理由と、離職者が主張する離職理由を把握し、それぞれの主張を確認できる資料(離職票や求職申込書)による、事実確認を行った上で、最終的にハローワークが慎重に行います。

「自己都合退職した人」に比べて、「会社都合退職した人」の方が、受給資格の条件は、緩やかに設定されているんだね。

キューピーちゃん

雇用保険を受けることが出来る人は?

雇用保険(失業保険)を受けるためには、上記で挙げた「受給資格」をクリアした上で、まず、基本前提として、「積極的に仕事を探しているにも関わらず、仕事に就けていない状態(失業の状態にある人)」に、あなたがなっているということを、「ハローワーク」に、定期的に通い、認めてもらう必要があります。

退職後、「雇用保険(失業保険)」を受給したいと思った場合、「受給資格を満たした状態」で、ハローワークに「失業保険の申請」を行い、「定められた受給期間」を「失業の状態」であると認定されなければなりません。

そこでまずは、「雇用保険(失業保険)」が貰える、この「失業の状態」が、どういう状態を指しているのかを、具体的に説明していきたいと思います。

ハローワークに、あなたが「失業の状態である」と、認めてもらわなければ、「雇用保険(失業保険)」は、給付されなくなりますので、この条件は、よく確認しておいてください。

失業の状態とは?

「失業していると認められない状態」に該当する人は、ハローワークから、「失業の状態」であるとは認定されませんので、「雇用保険(失業保険)」を、貰うことが出来なくなります。

この状態(「失業していると認められない状態」のまま)を隠して、「雇用保険(失業保険)」を受け取ってしまうと、「不正受給」とみなされ、国から「ペナルティ(罰則)」が与えられてしまいますので、十分、ご注意ください。

(A)失業していると「認められない状態」の人

以下に記載した状態の人は、ハローワークに「失業の状態」であるとは認められないため、「雇用保険(失業保険)」を、受給することが出来ません。

  1. 病気やケガですぐに就職することができない人 ×
  2. 妊娠・出産・育児などにより、すぐに就職することができない人 ×
  3. 親族の看護などで、すぐに就職することができない人 ×
  4. 定年などにより離職して、しばらくの間、休養する人 ×
  5. 結婚して、家事に専念し、就職を希望しない人 ×
  6. 家事手伝いや農業、商業など、家業に従事し、就職することができない人 ×
  7. 自営業(準備を含む)をしている人 ×
  8. 会社などの役員に就任している人 ×
  9. 就職している人 ×
  10. 学業に専念する人 ×
  11. 次の就職が決まっている人 ×

上記のいずれかの状態に当てはまる人は、原則として「求職者給付(失業手当)」を受けることが出来ません。

求職者給付とは、雇用保険法に規定される「失業等給付の1つ」です。雇用保険の被保険者が、失業した際に、求職活動期間の生活の安定を図ることが目的で、国から支給されます。求職者給付には、「基本手当」「傷病手当」「技能習得手当」「寄宿手当」「高齢求職者給付金」があります。一般的に、「失業保険(失業手当)」と呼ばれるものは、この中の「基本手当」のことを言います。

(B)失業していると「認められる状態」の人

「雇用保険(失業保険)」をもらうために、「失業の状態」であると、「ハローワーク」に認められるためには、上記の条件に該当しない上で、あなたが、以下の状態の人であると、「ハローワーク」に、認定される必要があります。

  1. 積極的に就職しようとする「意志」がある人
  2. いつでも就職できる能力(健康状態・環境など)がある人 
  3. 積極的に、仕事を探しているにも関わらず、現在職業に就いていない人 

「失業の状態」である人=「(A)に該当しない人」+「(B)に該当する人」

不正受給とは?

失業保険(基本手当)の不正受給とは、失業等給付の支給を受けることができないにも関わらず、偽り、または不正な手段によって、失業等給付の支給を受け、または受けようとすることを言います。

不正受給に該当する例

  1. 求職活動の実績がないにもかかわらず、失業認定書に、その実績について、虚偽の申告をした
  2. 事業主に雇用された場合(雇用の形態は問わず、試用期間も含む)に、そのことを失業認定申告書で申告しなかったり、採用日に雇用され、働いた事実、および収入を隠したり、偽った申告をした
  3. 労災保険の休業(補償)給付や、健康保険の傷病手当金などの支給を受けていることを申告しなかった(雇用保険の支給終了後、雇用保険を受給した期間について、労災保険の休業補償給付の支給を遡って受ける場合を含む)
  4. 就職いないのに、就職したと偽ったり、就職した日を偽って、再就職手当などの支給を申請した
  5. 会社の役員等に、就任したことを申告しなかった
  6. 偽りの記載をした離職票(離職理由を含む)を提出した

もし、ルールを破って「不正受給」を行ってしまうと、「支給停止」「返還命令」だけでなく、不正に受給した全額を返還した上で、不正受給した金額の2倍に相当する額を納めなければならない「納付命令」や、「財産の差し押さえ」などの、厳罰が課せられます。

不正受給のペナルティ(厳罰)

  1. 支給停止(その日以後の失業等給付の支給を受ける権利がなくなります)
  2. 返還命令(不正に受給した金額は、全額返還しなければなりません)
  3. 納付命令(不正に受給した金額を、全額返還するとともに、不正に受給した金額の2倍に相当する額を、さらに納めなければなりません)
  4. 延滞金(不正に受給した翌日から、延滞金が課せられます)
  5. 財産の差し押さえ(これら返還金などの納入を怠ると、財産の差し押さえが行われます)
  6. 詐欺罪での処罰(悪質な場合は、詐欺罪等で処罰されることがあります)

例えば、「60万円」の失業保険を、ルールを破って、不正受給してしまった場合には、受け取った「60万円」を全額返還した上で、不正受給した2倍に相当する「120万円」の追加の納付命令が、来てしまう事態にもなりかねません。この納付を拒否すると、「財産の差し押さえ」や「詐欺罪等で処罰」に発展する可能性もありますので、くれぐれも、「不正受給」だけはしないように、「失業保険を受給するためのルール」を、しっかりと確認するようにしてください。

つまり、「今現在、完全に失業した状態」であり、本人が「すぐにでも就職できる能力を持っていて」、継続して「就職しようという意志や行動を示す人」が「失業保険(基本手当)」を貰えるのね。

キューピーちゃん

「ハローワーク」へ行く前に用意するもの

失業保険(失業手当)の手続きを行うためには、まず、住んでいる地域にある「ハローワーク」に行って、失業保険の受給手続きの申請をする必要があります。最初に「ハローワーク」に行くときに、必要な書類や、道具を揃えて持っていきましょう。

失業保険(失業手当)の受給手続きに必要なもの

  1. 離職票-1
  2. 離職票-2
  3. マイナンバーカードおよび運転免許証
  4. 写真2枚(縦3cm × 横2.5cm)
  5. 本人名義の「預金通帳」または「キャッシュカード」
  6. 本人の印鑑(スタンプ印以外)
基本手当 失業手当 雇用保険 失業保険 離職票1

離職票 – 1

基本手当 失業手当 雇用保険 失業保険 離職票2

離職票 – 2

「離職票 – 1」と「離職票 – 2」は、退職前に、会社にお願いをして、退職後になるべく早めに貰えるよう、段取りをしておきましょう。

キューピーちゃん

注意
「Uターン」や「Iターン」などで、これまで仕事をしていた地域から離れる人は、元いた市区町村で、転出の手続きを済ませてから、新しく移り変わる市区町村で、転入の手続きを行い、住所を新しいところへ移しておいてください。住所が、元の市区町村のままだと、受給手続きが開始されませんので、注意してください。

「ハローワーク」で「仕事探しを申し込む」

「雇用保険(失業保険)」の手続きは、お住まいの地域にある「ハローワーク」へ、「離職票(1と2)」を提出し、あわせて「仕事探しの申し込み」をした時からスタートします。

仕事探しの申し込みの際は、行った先のハローワークで、「求職申込書」に、「希望する仕事の種類」や「希望する収入」等を、記入して提出します。

基本手当 失業手当 雇用保険 失業保険 求職申込書

求職申込書

この、雇用保険(失業保険)の手続きの開始日(最初にハローワークを訪れた日)のことを、「受給資格決定日」と言います。

雇用保険説明会に参加する

最初に、ハローワークに最初に訪問した日(受給資格決定日)から、約1週間後くらいに行われる「雇用保険説明会」に参加します。

「雇用保険説明会」では、「雇用保険受給資格者証」や「失業認定申告書」「ハローワークカード」などの、必要書類を渡してもらえます。また、雇用保険の受給手続きの進め方や就職活動についての説明も、この「雇用保険説明会」で聞くことができます。

基本手当 失業手当 雇用保険 失業保険 雇用保険受給資格者証 表

雇用保険受給資格者証(表側)

基本手当 失業手当 雇用保険 失業保険 雇用保険受給資格者証 裏

雇用保険受給資格者証(裏側)

基本手当 失業手当 雇用保険 失業保険 雇用保険受給資格者証 ハローワークカード

ハローワークカード

受給資格決定日からの「待期(たいき)」

受給資格決定日から、「失業の状態」にあった日が通算して「7日間」が経過するまでは、失業保険(基本手当)の支給を受けることが出来ません。受給資格決定日から、この「失業の状態」が「7日間」経過するまでの期間を「待期期間」と言います。

「待期期間」が終了した日の翌日から、失業保険(基本手当)の支給の対象となる日がスタートし、ハローワークで「失業の認定を受けた日」についての「失業保険(基本手当)」が支給されます。

しかし、これは「給付制限のない、会社都合退職者の場合」で、「3ヵ月の給付制限がつく、自己都合退職者の場合」は、「待期」満了した翌日から、さらに3ヵ月が経過したところまで、引き続き「失業の状態」にある場合に、ようやく、失業保険(基本手当)の支給が始まります。

  • 会社都合退職者(給付制限なし):例)4月15日(受給資格決定日)⇒4月21日(待期満了日)⇒4月22日(待期満了日の翌日)ココから失業保険の支給がスタートする!
  • 自己都合退職者(3ヵ月間の給付制限あり):例)4月15日(受給資格決定日)⇒4月21日(待期満了日)⇒4月22日(待期満了日の翌日)⇒7月22日(給付制限期間が経過した翌日)ココから失業保険の支給がスタートする!

給付制限とは?

「自己都合」「懲戒解雇」で退職した人は、待期満了の翌日から、さらに3ヵ月間、失業保険(基本手当)が支給されません。これを「給付制限」と言います。

懲戒解雇と普通解雇の違い

普通解雇は、契約上の解約という位置づけですが、懲戒解雇は、企業秩序違反に対する制裁として、退職金が支払われないという不利益と、懲戒処分がされたという不名誉な経歴が残るペナルティ的な解雇のことです。

キューピーちゃん

会社を自己都合で退職してしまうと、失業保険(基本手当)をもらうまでの間の、かなり長い期間を、「失業の状態」で過ごさなければなりません。この間の生活費や、自分で支払わなければならない年金料金・保険料金などは、事前に蓄えておくようにしましょう。
自己都合で退職する場合、貯金はどれだけ必要?

自己都合で退職する場合、1人暮らしの生活を続ける場合は、最低でも「100万円の貯金」は貯めておきたいところです。心の余裕を持って生活したい場合は、働いている間に、頑張って「200万円くらいの貯金」を貯めておくと、退職した後に、焦らずに済むかと思います。

失業の認定日

失業保険(基本手当)の支給を受けるためには、「原則として4週間(28日)に1回の指定された日(失業の認定日)」に、必ず、あなた自身がハローワークへ行き、「失業の状態」であることを「失業認定申告書」で、申告する必要があります。

「4週間に1回」の「失業の認定日」ごとに「受給資格者証」「失業認定申告書」を、ハローワークに提出すると、ハローワークで、「就労の有無」「求職活動の実績」などを確認して、「失業の認定」「職業相談」を行ってくれます。

雇用保険(失業保険)の受給資格を得るには、「積極的に仕事を探しているにも関わらず、仕事に就けていない状態(失業の状態にある人)」になっている必要があると述べましたが、この「失業の状態にある人」を確認する場所が、お住まいの地域にある「ハローワーク(公共職業安定所)」なのです。

注意
  • 失業の認定日が1ヵ月に2回ある月もあります。
  • 受給資格者証に次回認定日を印字してくれます。

失業の認定日にハローワークに行かなかった場合

定められた「失業の認定日」に、ハローワークへ行かなかった場合、「その認定日までの期間と、来所しなかった認定日の当日分を合わせた、失業保険(基本手当)」は、支給されなくなります。

また、次の認定日の前日までにハローワーク等へ行き、「就職相談」などの「積極的な求職活動」をしなかった場合には、「その次の認定日の前日までの期間についても、失業保険(基本手当)」が、支給されなくなります。

つまり、「定められた認定日」にハローワークへ行かなかったり、「定められた回数以上の求職活動実績として認められる求職活動」を、次の認定日までにしてこなかった場合は、その期間の失業保険(基本手当)が、支給されませんので、十分、注意してください。

「失業の認定日」の変更について

定められた「失業の認定日」に、ハローワークに行くことができないことが、あらかじめ分かっている場合は、以下のような、やむを得ない理由がある場合のみ、「特別な取扱い」として、既に決まっている「認定日」を変更することが可能です。認定日を変更したい場合は、必ず事前に、ハローワークに連絡した上で、指示を受けるようにしてください。

認定日の変更が可能な「やむを得ない理由」

  1. 就職
  2. 求人者との面接、選考、採用試験など
  3. 各種国家試験、検定等資格試験の受験
  4. ハローワーク等の指導により、各種講習会を受講する場合
  5. 働くことができない期間が、14日以内の病気・ケガ
  6. 本人の婚姻
  7. 親族の看護、危篤または死亡、婚姻(親族すべてではなく、範囲が制限されています)
  8. 中学生以下の子弟の入学式または卒業式

※なお、「失業の認定日」の変更を希望する場合には、原則として、「その事実がわかる証明書等が必要」となります。(必要な証明書については、ハローワークの窓口で確認してください)

また、「指定された認定日」に、ハローワークに行くことができなかった場合、その理由が、以下の3つのいずれかである場合のみ、その理由を証明した「証明書」によって、次回の認定日に、まとめて認定を受けることも出来ます。

  1. 働くことができない期間が14日以内の病気、ケガの時(傷病証明書)
  2. ハローワーク等の紹介により、求人者との面接をした時(面接証明書)
  3. 天災、その他の避けることができない事故(水害、地震、交通事故など)により、来所できない時(官公署の証明)

上記の場合も、必ず、ハローワークに連絡した上で、指示を受けるようにしてください。

「求職活動実績」

失業保険(基本手当)の支給を受けるためには、4週間に1回の「失業の認定日」に、ハローワークへ行き、「失業の状態」であることを「失業認定申告書」で申告する行動以外に、もう1つ、客観的に確認することができる「仕事探しの実績」が必要になります。

この「仕事探しの実績」のことを「求職活動実績」と言います。

失業保険(基本手当)の支給を受けるためには、求職活動実績として認められる活動を、原則として、前回の「失業の認定日」から、今回の「失業の認定日」の前日までの期間中に、最低「2回以上」行うことが必要になります。

注意

「自己都合退職者」など「給付制限がある場合」には、給付制限期間中と、その直後の認定対象期間を合わせた期間中に、原則として、求職活動実績として認められる活動を、最低「3回」以上行うことが必要となります。

失業保険をもらうためには、「4週間に1回の失業認定日に、ハローワークへ行き、失業状態を申告すること」&「次回の失業認定日の前日までに、最低2回以上の求職実績活動を行うこと」の「2つ」を繰り返す必要があるのね。

キューピーちゃん

ハローワークに求職活動として認められる行動

「ハローワーク」に「求職活動」として認められる行為は、以下の通りとなります。

求職活動実績に該当するもの

  1. 求人への応募
  2. ハローワーク等、船員雇用促進センターが行う職業相談、職業紹介等
  3. ハローワーク等、船員雇用促進センターが行う各種講習、セミナーの受講
  4. 許可・届出のある民間機関(民間職業紹介事業所、労働者派遣事業所)が行う職業相談、職業紹介等
  5. 許可・届出のある民間機関(民間職業紹介事業所、労働者派遣事業所)が行う求職活動方法等を指導するセミナー等の受講
  6. 公的機関等(独立行政法人、高齢・障害・求職者雇用支援機構、地方自治体、求人情報提供会社、新聞社等)が行う職業相談等
  7. 公的機関等(独立行政法人、高齢・障害・求職者雇用支援機構、地方自治体、求人情報提供会社、新聞社等)が行う各種講習・セミナー、個別相談ができる企業説明会等の受講、参加等
  8. 再就職に資する各種国家試験、検定等の資格試験の受験等

船員雇用促進センターとは、「公益財団法人日本船員雇用促進センター」のことを言います。船員雇用促進センターでは、船乗りの人々の雇用の促進、雇用の安定、資格取得などを支援する事業を実施している他、国際協力事業として、発展途上国の船員養成や、日本の国内船に乗り込む、外国人の船員の講習等も行っています。

ハローワークに求職活動として認められない行動

ハローワークや、新聞、インターネット等で求人情報を閲覧したり、知人への紹介依頼等は、求職活動には含まれません。

少し、ややこしいのですが、ハローワークで「求人情報を閲覧」するだけの行為は、「求職活動とは認められていません」。

ただし、ハローワークに行き、職業相談窓口で受け付けを行い、対面で、職業相談を行う場合は、上記の通り、求職活動として、認められている行為となります。

求職活動実績に該当しないもの

  1. 単なる新聞、インターネット等での求人情報の閲覧
  2. 単なる知人への紹介依頼
  3. インターネット等による民間職業紹介機関、労働者派遣機関への単なる登録

「③」に関しては、登録に際して希望条件面等について話し合う場合、具体的な派遣先や求人の提示があり、それに答える場合など、民間職業機関、労働者派遣機関と受給資格者との間にやり取りがあれば、職業相談としての求職活動には該当しますが、単なる登録は求職活動に該当しないものとして、取り扱われます。

失業保険(基本手当)の支払いについて

失業保険(基本手当)は、失業の認定を受けた後、その認定された日数分が、あなたの指定した金融機関の預金口座に振り込まれます。

なお、預金口座に振り込まれるのは、「失業の認定日の約7日後」となります。

失業保険(基本手当)の受給期間とは?

失業保険(基本手当)を受けることができる期間は、原則として離職日の翌日から1年間です。この期間を「受給期間」と言います。この「受給期間」は、基本手当がもらえる日数の上限(給付日数)とは、異なります。

「受給期間」の1年間を過ぎてしまうと、基本手当がもらえる日数である「給付日数」がどれだけ残っていても、基本手当がもらえなくなりますので、注意が必要です。

特に、離職してからは、早めにハローワークへ行き、雇用保険(失業保険)の申請手続きをしないと、もたもたし過ぎて、「受給期間である1年間」が、どんどん過ぎてしまい、権利(給付日数)があったとしても、基本手当を全額、支給してもらえなくなる可能性が出てきてしまいます。

会社を離職したら、早めに「ハローワーク」へ行き、「雇用保険(失業保険)」の手続き申請を、行うようにしましょう。

基本手当の支給開始と期間【待期・給付制限・受給期間】

離職理由 解雇、定年、契約期間満了での離職 自己都合、懲戒解雇で離職
支給の開始 離職票を提出し、求職申込をしてから、7日間の失業している日(待期)が経過した後 離職票を提出し、求職申込をしてから、7日間の失業している日(待期)+3ヵ月(給付制限)が経過した後
受給期間 離職の日の翌日から1年間

給付日数とは?

失業保険(求職者給付のうちの基本手当)を受けることができる日数(支給される日数)は、「離職日における年齢や、被保険者として雇用されていた期間の長さ、および、原則として、直近の離職理由」などの、個人的な条件により、以下の表の通りに定められています。

この、失業保険(基本手当)を受けることができる日数の上限のことを、「所定給付日数」と言います。

つまり、「給付日数」とは、簡単に言うと、「実際に、何日分の失業保険(基本手当)が貰えるのか?」という「支給日数」のことを「給付日数」と呼んでいるのです。

「受給期間(どの条件の人でも1年間)」「給付日数(個人の条件により変化する支給日数)」は、よく混同されることが多いので、間違わないように気を付けてください。

「給付日数」の比較表

①契約期間満了、定年退職、懲戒解雇、自己都合退職の人

離職時の年齢と被保険者期間 10年未満 10年以上20年未満 20年以上
全年齢 90日 120日 150日

②倒産、解雇、一定の要件を満たす雇止め、会社都合退職の人

離職時の年齢と被保険者期間 1年未満 1年以上5年未満 5年以上10年未満 10年以上20年未満 20年以上
30歳未満 90日 90日 120日 180日
30歳以上35歳未満 120日 180日 210日 240日
35歳以上45歳未満 150日 240日 270日
45歳以上60歳未満 180日 240日 270日 330日
60歳以上65歳未満 150日 180日 210日 240日

③障害等の就職が困難な人

離職時の年齢と被保険者期間 1年未満 1年以上
45歳未満 150日 300日
45歳以上65歳未満 360日

例えば、「離職時の年齢」が「35歳」で「被保険者期間(雇用保険に入っていた期間)」が「12年」の人がいたとします。

この人が「①自己都合退職した場合」と「②会社都合退職した場合」の、それぞれの「給付日数(失業手当が貰える日数)」を上の図からチェックすると、「①自己都合退職の場合の給付日数は、120日」ですが、「②会社都合退職の場合の給付日数は、240日」となります。

つまり、同じ「35歳で被保険者期間が12年」という条件ですが、退職理由が「自己都合退職」か「会社都合退職」かの違いで、この場合ですと「会社都合退職」の方が「2倍」の、失業保険(基本手当)が貰えることになるのです。

しかも、自己都合退職には、「給付制限が付いてくる」ため、「会社都合退職」の人に比べて、失業保険が支給されるのが、3ヵ月間も遅くなってしまうのです。

受給期間中の「アルバイト」や「パート」は?

「雇用保険(失業保険)」の受給期間中に「アルバイト」「パート」「日雇い労働」などをしてしまった場合、その日は「就労」とみなされ、「就労した日数分」の「基本手当」を受給することができなくなります。

また、これらが繰り返されて長期に渡る場合は、「就職」とみなされる場合があり、「就職」だと認定された場合は、基本手当の支給がストップしてしまいます。

就職または就労になる場合

就職または就労として、取り扱われる活動には、以下のものが挙げられます。

  1. 雇用保険の被保険者となる場合
  2. 事業主に雇用され、1日の労働時間が4時間以上である場合
  3. 会社の役員に就任した場合(1日の労働時間は問わない)
  4. 自営業の準備、自営業を営むこと、商業・農業等の家事に従事、請負・委任による労務提供、在宅の内職、ボランティア活動をした場合で、原則として、1日の労働時間が4時間以上である場合
  5. 「④」に挙げた活動を行い、1日の労働時間が4時間未満であったがそれに専念するためハローワーク等の紹介にはすぐに応じられない等、他に求職活動を行わなかった場合

※「②」に関しては、契約期間が7日以上の雇用契約において、週の所定労働時間が20時間以上、且つ、週の就労日が4日以上の場合は、実際に就労をしていない日を含めて、就職しているものとして、取り扱われます。

※「①」「②」「③」の場合は、賃金等の報酬がなくても、就職または就労したこととなります。

内職または手伝いになる場合

「内職」または「手伝い」として、取り扱われる活動には、以下のものが挙げられます。「内職」または「手伝い」として、取り扱われる活動は「就労」とはみなされませんが、「失業認定申告書」での申告を怠ると、「不正受給」とみなされる恐れがありますので、申告は、嘘偽りなく、正確に行ってください。

  1. 事業主に雇用された場合、自営業の準備、自営業を営むこと、商業・農業等の家業に従事、請負・委任による労務提供、在宅の内職、ボランティア活動をした場合で、原則として1日の労働時間が4時間未満(雇用保険の被保険者となる場合を除く)であった場合
  2. 自営業の準備、自営業を営むこと、商業・農業等の家業に従事、請負・委任による労務提供、在宅の内職、ボランティア活動をした場合で、原則として1日の労働時間が4時間以上だったが、1日当たりの収入額が賃金日額の最低額未満であった場合

※「②」の賃金日額の最低額は「2,480円」です。(2019年5月現在)ただし、この額は毎年8月1日に変更となる場合がありますので、注意してください。

※「内職」または「手伝い」による収入を得ていない場合でも、内職または手伝いをしたことの申告は必要となります。また、内職または手伝いにより収入があった(自己の労働によって収入を得た)場合は、その収入金額を申告する必要があります。

「雇用保険(失業保険)」基本手当の日額の計算方法は?

前章の「給付日数の表」から「自分が、実際に、何日分の失業保険(基本手当)が貰えるか」という「給付日数」が、分かったかと思います。では、次に、1日に貰える失業保険の金額(日額)は、どのように計算されるのでしょうか?

皆さんも気になる、「失業保険(基本手当)」の「日額」の計算方法を、説明していきます。

失業している日に受給できる1日当たりの金額を「基本手当日額」と言います。

基本手当の日額は、原則として、「離職する直前の6ヵ月間に支払われた賃金の合計金額を、180で割った金額(賃金日額)の、およそ80%~45%」になります。(※基本手当の日額については、別途、上限が定められています)

基本手当の日額=(離職する直前6ヵ月の賃金合計) ÷ (180) × (80%~45%)

つまり、同じ計算式を、簡単な言葉で言い表すと、以下のようになります。

基本手当の日額=(賃金日額) × (給付率)

上記の「基本手当の日額」を求める計算式の「80%~45%」の部分「給付率」と呼びます。あとは、この「給付率」さえ定まれば、最終的な「基本手当の日額」が算出されるはずです。では、この「給付率」は、一体、どのように計算すれば良いのでしょうか?

実は、基本手当の日額は、「年齢層」ごとにも「上限」が定められており、離職時の「あなたの年齢」によって、適用される「給付率」が、以下の表のとおりに変化してくるのです。

「基本手当の日額」の表

離職時の年齢が30歳未満または65歳以上の人

賃金日額(w円) 給付率 基本手当日額(y円)
2,480円以上4,970円未満 80% 1,984円~3,975円
4,970円以上12,220円以下 80%~50% 3,976円~6,110円(※A)
12,220円超13,510円以下 50% 6,110円~6,755円
13,510円(上限額)超 6,755円(上限額)

離職時の年齢が30歳以上または45歳未満の人

賃金日額(w円) 給付率 基本手当日額(y円)
2,480円以上4,970円未満 80% 1,984円~3,975円
4,970円以上12,220円以下 80%~50% 3,976円~6,110円(※A)
12,220円超15,010円以下 50% 6,110円~7,505円
15,010円(上限額)超 7,505円(上限額)

離職時の年齢が45歳以上または60歳未満の人

賃金日額(w円) 給付率 基本手当日額(y円)
2,480円以上4,970円未満 80% 1,984円~3,975円
4,970円以上12,220円以下 80%~50% 3,976円~6,110円(※A)
12,220円超16,520円以下 50% 6,110円~8,260円
16,520円(上限額)超 8,260円(上限額)

離職時の年齢が60歳以上または65歳未満の人

賃金日額(w円) 給付率 基本手当日額(y円)
2,480円以上4,970円未満 80% 1,984円~3,975円
4,970円以上10,990円以下 80%~45% 3,976円~4,945円(※B)
10,990円超15,750円以下 45% 4,945円~7,087円
15,750円(上限額)超 7,087円(上限額)

表の(※A)の部分の計算式

y = 0.8w – 0.3 × 【(w – 4,970) ÷ 7,240】 × w

表の(※B)の部分の計算式

y = 0.8w – 0.35 × 【(w – 4,970) ÷ 6,010】 × w もしくは y = 0.05w+4,392 のいずれか低い方の金額で算出される

※「y」は「基本手当の日額」、「w」は「賃金日額」です。

例えば「離職時の年齢」が「35歳」で「被保険者期間(雇用保険に入っていた期間)」が「12年」、離職時の「賃金日額(離職する直前6ヵ月間の賃金の合計を180で割った金額)」が「9,220円」だった、「自己都合退職者」の人がいたとします。

前章の「給付日数の比較表」から、この人の「給付日数」は、「120日」と算出されます。

この「全ての条件」を上の図の「基本手当の日額の表」に当てはめて、計算すると、まず「離職時の年齢が35歳以上または45歳未満の人」の表を確認します。

「離職時の年齢が35歳以上または45歳未満の人」の表の「賃金日額」が「9,220円」に当てはまる欄は「賃金日額=4,970円以上12,220円以下、給付率=80%~50%、基本手当日額=3,976円~6,110円(※A)」の欄になります。

この場合の計算式は、y = 0.8w – 0.3 × 【(w – 4,970) ÷ 7,240】 × w が使われますので、すべての値を当てはめて計算してみます。

「基本手当の日額」=(0.8×9,220円)- 0.3 ×【(9,220円 – 4,970)÷ 7,240】× 9,220円

この計算式を計算すると、「基本手当の日額=7376円 – 1622円」となり、「5754円」という「基本手当の日額」が導き出されます。

この人の場合の「給付日数」は「120日」でしたので、「5754円 × 120日 = 690,480円」となり、この人の失業保険(基本手当)が、全額支給された場合は、「69万480円」の金額が、受け取れるようになるのです。

注意
紹介している情報は、2019年5月時点の情報です。「基本手当の日額」は、「毎月勤労統計」の結果に基づき、毎年8月1日に改定されますので、最新の情報ではない場合がございます。ご注意ください。
失業保険 雇用保険 計算方法 計算式失業保険(失業手当)計算方法&計算式|賃金日額・受給額・給付金額

転職などで被保険者期間に空白がある場合は?

転職などで、被保険者であった期間(雇用保険に入っていた期間)に空白がある場合、その空白期間が「1年以内」の場合には、「前後の被保険者であった期間を通算する」ことが可能です。

つまり、前々職の被保険者期間が「7年」、転職活動を「8ヵ月」行い、転職できた、前職の被保険者期間が「3年」だった場合は、前後の被保険者期間を通算できますので「7年+3年=10年」となり、「10年」の被保険者期間とすることができるのです。

前後の被保険者期間の間の空白期間が「1年以上(12ヵ月以上)」開いてしまっていた場合は、前後の被保険者期間を通算することが出来ないので、前職の被保険者期間である「3年」が、あなたの被保険者期間として、適用されることになってしまいます。

ただし、過去に「失業保険(基本手当)」「再就職手当」「特例一時金」の支給を、すでに受けたことがある人は、最後に「失業保険(基本手当)」「再就職手当」「特例一時金」などの支給を、受け取った後の「被保険者期間のみが通算されます」ので、注意が必要です。

受給期間の「延長」はできるの?

雇用保険(失業保険)の基本手当を受給できる期間は、原則、「離職日の翌日から1年間」ですが、以下のような、やむを得ない理由が起こった場合には、失業保険(基本手当)の受給期間を「延長する」ことが可能です。

受給期間の延長が可能な理由

  1. 病気
  2. ケガ
  3. 妊娠
  4. 出産
  5. 育児(3歳未満)
  6. 小学校就学前の子供の看護
  7. 親族等の看護
  8. 配偶者の海外勤務に本人が同行する場合
  9. 一定のボランティア活動等

上記の理由で、引き続き30日以上、就業に就くことができない期間がある場合には、「その職業に就くことができない日数(受給期間の中で活動できない日数)」を、受給期間に加えることができます。

また、受給期間の延長で、受給期間に加えることができる期間の上限は、「最大3年間」となります。

「受給期間延長」の「申請手続き」の方法は?

失業保険(失業手当)の受給期間(原則1年間)を、上記のような、やむを得ない理由で「延長」したい場合は、「引き続き、30日以上働くことができなくなった日の翌日以降」で、早期に、ハローワークで、延長の申請手続きを行ってください。

「延長後の、受給期間の最後の日まで」の間であれば、「受給期間」の「延長」の申請手続きは可能ですが、なるべく早い段階で、忘れないうちに、ハローワークには、以下の必要書類を提出し、申請手続きを済ませておく方が、安心だと思います。

受給期間の延長の申請手続きに必要な書類

  1. 「受給期間延長申請書」
  2. 「雇用保険受給資格者証」
  3. 「延長理由に該当することの事実を確認できる書類」

※上記の書類は「郵送」または「代理人による提出」も可能ですが、代理人の場合は「委任状」が必要です。

※なお、延長理由によっては、「医師の診断書等の証明書類」を提出する必要があります。

受給期間の延長が認められると、「受給期間延長通知書」を受け取ることが出来ます。その後、無事に、「受給期間を延長した理由」が終わった場合は、すぐにハローワークへ行き、延長した理由が終了したことを、届け出てください。

60歳以上の定年退職者等の受給期間の延長

60歳以上(船員の人は50歳以上)の定年退職や、定年後の継続雇用の終了により退職した人が、退職後、一定期間、求職の申し込みをしないことを申し出た場合には、この申し出た期間分(最長1年間)の受給期間を延長することができます。

その場合の延長手続きの申請期限は「離職日の翌日から2ヵ月以内」です。「離職日の翌日から2ヵ月以内」という「申請期限」の短さや、1度、求職申込をした後では、この受給期間の延長が、できない仕組みとなっているので、申請を希望される高齢者の方は、離職票を提出する初日に、必ず、ハローワークに係員の人に、申し出るようにしてください。

就職または事業を開始することが決まった場合

受給期間中に、就職(試用期間、研修期間、アルバイト、パートを含む)、または「事業」を開始することが決まった場合は、原則として、「就職または事業(事業開始のための準備期間がある場合は準備)を開始する日の前日に、ハローワーク等に行き、【失業認定申告書】により、就職の届け出を行い、失業の認定を受けてください。

就職の届出に必要なもの・書類

  1. 「雇用保険受給資格者証」
  2. 「失業認定申告書」
  3. 「採用証明書等」

なお、「再就職手当」などの支給要件に該当する場合は、ハローワークで「失業の認定を行った後に、支給申請用紙を貰う」ことを、忘れないでください。

再就職手当とは?

失業保険(基本手当)の所定給付日数の「3分の1以上の支給日数を残して、安定した職業に就き、支給要件を全て満たした場合に、再就職手当」の支給を受けることができます。

支給額は、所定給付日数の3分の1以上を残して就職した場合は、支給残日数の60%、所定給付日数の3分の2以上を残して就職した場合は、支給残日数の70%に、基本手当の日額を掛けて得た金額になります。

所定給付日数 支給残日数 再就職手当の額
支給率60%の場合 支給率70%の場合
90日 30日以上 60日以上

「基本手当の日額」×「所定給付日数の支給残日数」×「60%または70%

(1円未満の端数は、切り捨て)

120日 40日以上 80日以上
150日 50日以上 100日以上
180日 60日以上 120日以上
210日 70日以上 140日以上
240日 80日以上 160日以上
270日 90日以上 180日以上
300日 100日以上 200日以上
330日 110日以上 220日以上
360日 120日以上 240日以上

※再就職手当を算出する際の基本手当の日額には上限があります。

※基本手当の上限額は、毎年8月1日に変更となる場合があります。

再就職手当を算出する際の基本手当日額の上限

  • 離職時の年齢が60歳未満の人「6,110円」
  • 離職時の年齢が60歳以上65歳未満の人「4,945円」

支給残日数とは?

給付日数の上限である「所定給付日数」から、受給資格に基づいて、既に「基本手当の支給を受けた日数」、または「傷病手当」、「就業手当」、「再就職手当」の支給を受けたことにより基本手当の支給を受けたものとみなされた日数を、差し引いた日数のことです。

※支給残日数が、就職日から受給期間の満了年月日までの日数を超える時は、就職日から受給期間の満了年月日までの日数が、支給残日数となります。

また、給付制限の期間中に就職した場合で、支給残日数が給付制限期間の末日の翌日から、受給期間の満了年月日までの日数を超える時は、給付制限期間の末日の翌日から、受給期間の満了年月日までの日数が、支給残日数となります。

再就職手当がもらえる人

再就職手当の支給要件は、以下の条件を全て満たした場合にのみ、支給を受けることができます。

再就職手当の支給要件

  1. 就職日の前日までの「失業の認定」を受けた後の、基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上あること
  2. 1年を超えて勤務することが確実であると認められること
  3. 任期満了日後の就職であること
  4. 離職理由による給付制限を受けた場合は、任期満了日後の1ヵ月間については、ハローワーク等、または許可・届け出のある職業紹介事業者等の紹介により就職したものであること
  5. 離職前の雇用主に再び雇用されたものでないこと
  6. 就職日の前3年以内の就職について、再就職手当または常用就職支度手当の支給を受けていないこと
  7. 受給資格決定(求職申込み)前から、採用が内定していた事業主に雇用されたものでないこと
  8. 原則、雇用保険の被保険者要件を満たす条件での雇用であること

再就職手当は、支給決定日から、おおむね1週間程度で、所定の口座に入金されます。ただし、申請内容の確認結果によっては、支給の決定を行うまでに時間がかることがあります。

「ハローワーク等の紹介による就職」とは
ハローワーク等で紹介を受け、事業所に面接に行き、就職した場合のことをいいます。したがって、ハローワーク等の公開求人や求人情報誌等を見るなどして、ご自身で直接応募して就職された場合には「ハローワーク等の紹介による就職」とはなりません。

再就職手当の手続きは?

再就職手当の申請手続きについて説明していきます。再就職手当の申請期限は、「就職日の翌日から1ヵ月以内」です。

再就職手当を申請したい人は、以下の必要書類を、ハローワークへ提出してください。(提出は、郵送でも差支えありません)

再就職手当の申請手続きに必要な書類

  1. 再就職手当支給申請書(就職先の事業主の証明が必要)
  2. 雇用保険受給資格者証
  3. その他、ハローワーク等の求める書類
注意
ハローワーク等で就職の届け出を行った後でなければ、再就職手当の申請手続きはできません。また、再就職手当の支給を受けると、同一の就職を理由とする「高年齢再就職給付金」は支給されません。

早期に再就職すると給付率が60%⇒70%へ

再就職手当は、早期に再就職すると給付率が60%⇒70%にアップします。

基本手当の日額4,000円、所定給付日数90日の人が、支給残日数60日の時点で就職した場合

  1. 所定給付日数の90日に対して、基本手当の残日数が60日(3分の2以上)あるので、再就職手当の支給率は「70%」になります。
  2. この場合の、再就職手当の金額は、4,000円×60日×70%=168,000円となります。

基本手当の日額4,000円、所定給付日数90日の人が、支給残日数59日の時点で就職した場合

  1. 所定給付日数の90日に対して、基本手当の残日数が59日(3分の1以上)になってしまうので、再就職手当の支給率は「60%」になります。
  2. この場合の、再就職手当の金額は、4,000円×59日×60%=141,600円となります。

再就職手当の支給額は、所定給付日数の3分の1以上を残して就職した場合は、支給残日数の60%、所定給付日数の3分の2以上を残して就職した場合は、支給残日数の70%へと、給付率がアップしますので、ハローワークを利用して就職を希望する人は、自分の支給残日数は、定期的にチェックするようにしてください。

支給額例(年齢60歳未満の場合)
  • 離職日:3月31日
  • 雇用保険受給手続き:4月10日
  • 3ヵ月間の給付制限あり(自己都合退職)
  • 所定給付日数:120日
  • 基本手当日額:5,500円
  • 離職前の賃金:270,000円(離職前の6ヵ月間の賃金日額 9,000円)
  • 再就職後の賃金:210,000円(離職前の6ヵ月間の賃金日額 7,000円)
就職の時期 失業等給付からの収入 就職後の賃金による収入(3月支給分まで) 就職後1年間の総収入額(4月~3月)
基本手当 再就職手当 就業促進定着手当
給付制限中(5月1日に就職した場合 0円 462,000円 198,000円 2,100,000円 2,760,000円
所定給付日数の3分の1以上を残した場合(10月1日に就職した場合) 418,000円 145,200円 96,800円 1,050,000円 1,710,000円
支給終了の1ヵ月後(12月16日に就職した場合) 660,000円 0円 0円 525,000円 1,185,000円

この支給例はあくまでも1例です。「再就職手当」や「就業促進定着手当」の支給要件を満たす必要があります。

再就職手当の受給後にも、条件が当てはまる人だけに、「就業促進定着手当」という、追加の給付がもらえる場合があります。次は、この「就業促進定着手当」について説明していきます。

就業促進定着手当とは?

「就業促進定着手当」とは、早期に再就職をして、「再就職手当」の支給を受けた人が、引き続き、その再就職先に「6ヵ月以上雇用され」、かつ再就職先で6ヵ月の間に支払われた賃金が、雇用保険の給付を受ける直前の賃金に比べて低下している場合に、受け取ることができる給付になります。

「就業促進定着手当」が支給されるためには、以下の全ての要件を満たしていることが必要です。

就業促進定着手当の支給要件

  1. 再就職手当の支給を受けていること
  2. 再就職手当の支給を受けた、再就職の日から、同じ事業主に引き続き「6ヵ月以上」雇用されていること
  3. 再就職手当の支給を受けた、再就職の日から、6ヵ月間に支払われた賃金額の1日分の額が、離職前の賃金日額を下回ること

就業促進定着手当の支給額

就業促進定着手当の支給額は、以下の計算式で算出されます。

(B)=「離職前の賃金日額」(A)=「再就職手当の支給を受けた再就職の日から6ヵ月間に支払われた賃金額の1日分の額」です。

支給額の計算方法

支給額=(B – A)× 再就職の日から6ヵ月間内における賃金の支払いの基礎となった日数

ただし、以下の通りの上限額がありますので、ご注意ください。

上限額の計算方法

上限額:基本手当の当日額 × 基本手当の支給残日数に相当する日数 × 30%(※もしくは40%)

※上記の、「基本手当の当日額」にも、再就職手当と同様の上限額があります。

※上記の、「基本手当の支給残日数に相当する日数」は、再就職手当の給付を受ける前の支給残日数です。

※上記の、「支給率(30%の箇所)」の部分は、再就職手当の支給率が70%の場合です。再就職手当の支給率が60%の場合は、この箇所は「40%」になります。

支給額の計算例

  • 60歳未満の時点で離職、離職時の賃金が月給制30万円、基本手当は5,687円だった人が、支給残日数が90日の状態で再就職をして再就職手当を受給。
  • 離職前の賃金日額は、10,000円(B)、再就職後6ヵ月間の賃金の1日分の額は9,500円(A)です。
  • 賃金支払い基礎日数は、月給制なので、歴日数(183日とします)です。
  • 就業促進定着手当の金額を計算式により一通り計算すると、(10,000円 – 9,500円) × 183日 = 91,500円となります。
  • この場合の上限額は、「5,687円 × 90日 × 30% = 153,549円」なので、上限額以下の91,500円が支給されます。

就業促進定着手当の申請

「就業促進定着手当」の申請期限は、就職日から6ヵ月経過した日の翌日から「2ヵ月以内」です。

就業促進定着手当の申請をする場合は、以下の書類をハローワークへ提出してください。

就業促進定着手当の申請手続きの必要書類

  1. 申請書(就職先の事業主の証明が必要です)
  2. 雇用保険受給資格者証
  3. 出勤簿の写し、賃金台帳の写し、ハローワークの求める書類

再就職後6ヵ月間の賃金の1日分の額(算出方法)

【月給の場合】

・再就職後6ヵ月間の賃金の合計額 ÷ 180

 

【日給・時給の場合】

・次の(a)(b)のうち、どちらか金額の高い方

(a)再就職後6ヵ月間の賃金の合計額 ÷ 180

(b)(再就職後6ヵ月間の賃金の合計額 ÷ 賃金支払いの基礎となった日数) × 70%

就業手当とは?

失業中に、アルバイトなど、1年を超える見込みのない職業に就いた(再就職手当の支給対象とならない)場合、その就業日について、支給要件を全て満たした場合には、「就業手当」の支給を受けることができます。

また、この就業手当の支給を受けた場合においても、その後、その就業が安定した職業になったと認められる時は、再就職手当の支給対象となる場合があります。

なお、この場合の支給残日数は、「安定した職業に就いた」日の「前日時点」で判断することになります。

就業手当の金額は?

就業日ごとに、基本手当の日額の30%に相当する額(1円未満の端数は切り捨て)の支給を受けることができます。

就業手当を算出する際の基本手当の日額には、上限額があります。

就業手当の上限額

  • 離職時の年齢が60歳未満の人「6,110円」
  • 離職時の年齢が60歳以上65歳未満の人「4,945円」

※基本手当の上限額は、毎年8月1日に変更となる場合があります。就業手当の支給を受けた日については、基本手当の支給を受けたものとみなされます。

就業手当の支給要件

「就業手当」の支給を受けるためには、以下の支給要件を「全て」満たしていることが必要です。

就業手当の支給要件

  1. 職業に就いた日の前日における基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上、且つ、45日以上であること
  2. 再就職手当の支給対象とならない職業に就いたこと
  3. 待期満了日後の就業であること
  4. 離職理由による給付制限を受けた場合には、待期満了後の1ヵ月間については、ハローワーク等、または許可・届け出のある職の職業紹介事業者等の紹介による就業であること
  5. 離職前の事業主に再び雇用されたものでないこと
  6. 受給資格決定(求職申込)前から採用が内定していた事業主に雇用されたものでないこと

就業手当の申請手続き

就業手当の申請手続きは、4週間に1回の「失業の認定日」に、前回の認定日から、今回の認定日の前日までの各日について、「就業手当支給申請書」に「雇用保険受給資格者証」および「就業した事実を証明する書類」を添えて、ハローワークに提出します。

※就職日以後、失業の認定の必要のない方については、支給申請書を代理人(委任状が必要)または、郵送により提出することが可能です。なお、この場合、事業主の証明が必要となります。

常用就職支度手当とは?

「常用就職支度手当」とは、以下のいずれかの人が、基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1未満の時点で、ハローワーク等、または許可・届け出のある職業紹介事業者等の紹介で、安定した職業に就き、支給要件を全て満たした時に、支給される手当になります。

  1. 45歳以上で雇用対策法等に基づく再就職援助計画等の対象となる人
  2. 障害のある等で、就職が困難な人

常用就職支度手当の金額は?

「常用就職支度手当」の支給額は、「90(所定給付日数の支給残日数が90日未満である場合には、支給残日数に相当する数。その数が45を下回る場合は、45)」に基本手当の日額を乗じて得た額の10分の4となります。(1円未満の端数は切り捨て)

なお、所定給付日数が270日以上の受給資格者については、一律36日分となります。

※常用就職支度手当を算出する際の、基本手当の日額には、上限額があります。

※基本手当の上限額は、毎年8月1日に変更となる場合があります。

常用就職支度手当の上限額

  • 離職時の年齢が60歳未満の人「6,110円」
  • 離職時の年齢が60歳以上65歳未満の人「4,945円」

常用就職支度手当の支給要件

「常用就職支度手当」の支給を受けるためには、以下の支給要件を「全て」満たしていることが必要です。

常用就職支度手当の支給要件

  1. 基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の1未満であること
  2. ハローワーク等、または許可・届け出のある職業紹介事業者等の紹介により、就職したこと
  3. 1年以上引き続いて雇用されることが確実であること
  4. 離職前の事業主に再び雇用されたものでないこと
  5. 待期満了日後に職業に就いたこと
  6. 給付制限期間が経過した後に、職業に就いたこと
  7. 原則、就職日において、支給残日数が残っていること
  8. 雇用保険の被保険者資格を取得する要件での雇用であること
  9. 就職日の前3年以内の就職について、再就職手当または常用就職支度手当の支給を受けていないこと
  10. 再就職手当の支給を受けることができないこと

常用就職支度手当の申請手続き

「常用就職支度手当」の申請手続きの申請期限は、「就職日の翌日から1ヵ月以内」です。

常用就職支度手当の申請手続きをしたい人は、以下の必要書類を、ハローワークへ提出してください。

  1. 「常用就職支度手当支給申請書」(就職先の事業主の証明が必要)
  2. 雇用保険受給資格者証
  3. その他、ハローワーク等の求める書類

上記の必要書類の提出は、郵送でも大丈夫ですが、支給されるか・不支給になるかを決定するために、一定の調査期間(1ヵ月程度)を要します。

就職した後に再び離職した時は?

就職した後に再び離職した時は、当初の受給期間に、支給残日数がある場合には、その範囲内で基本手当の支給を受けることができます。

ただし、支給の対象となる日は、離職後にハローワークへ行き、届出をして、再求職申込をした日(給付制限期間がある場合は、給付制限期間が経過した後)からとなりますので、離職後は、できるだけ早く、ハローワークへ行き、届け出るようにしてください。

なお、再就職手当の支給を受けた人は、その支給日数分を差し引いた範囲内(端数は切り捨て)で、失業保険(基本手当)の、支給を受けることができます。

届け出に必要な書類・必要なもの

  1. 雇用保険受給資格者証
  2. 離職票または喪失確認通知書(後日でも大丈夫)
  3. 離職状況証明書(雇用保険未加入者)

例えば、所定給付日数180日の人が、基本手当60日分の支給後に再就職し、再就職手当84日分の支給を受けた後に、離職した時は、以下の計算式で試算し、基本手当の支給を受けることができます。

180日(所定給付日数) – 60日(基本手当) – 84日(再就職手当) = 36日

実は、上記の、再就職手当等の受給後に再離職した人の中で、離職理由が「倒産・解雇等」による会社都合退職だった場合には、「受給期間」が延長される特例があります。

再就職手当などの支給を受けた後の、最初の離職の日が、受給期間内にあり、且つ、倒産・解雇等により、再就職された人については、一定の受給期間の延長があります。

新しい受給資格が得られた場合

就職した事業所で被保険者となって12ヵ月以上(解雇・倒産で退職された人の場合は6ヵ月以上)働いた後に、離職した場合は、通常は新たに雇用保険の受給資格が生じますので、その受給資格で基本手当の支給を受けることになります。

この場合には、支給を受けるための手続きを、最初から行う必要があります。なお、新たに受給資格が得られた場合には、以前の受給資格に基づく支給を受けることはできません。

病気やケガで働けなくなった時は?

受給資格の決定を受けた後に、病気やケガのため、15日以上働くことができない状態になった場合には、基本手当のかわりに、同額の傷病手当の支給を受けることができます。

ただし、健康保険、労災保険等、他の法律に基づいて傷病手当金、休業補償給付等の支給を受けている場合や、待期期間中、および給付制限期間中の日は、支給を受けることができません。

また、引き続き30日以上働くことのできない場合には、傷病手当の支給を受けず、受給期間を延長し、傷病が治癒した後に、失業保険(基本手当)の支給を受けることもできます。

傷病手当の申請手続き

傷病手当の申請手続きをする場合は、以下の必要書類を、ハローワークへ、提出する必要があります。なお申請期限は、傷病が治癒した直後の認定日までです。

「傷病手当」申請手続きの必要書類

  1. 傷病手当支給申請書
  2. 雇用保険受給資格者証
  3. 健康保険証(写しでもOK)

※上記の書類を提出する場合は、代理の人でも大丈夫ですが、その際は、「委任状」が必要となります。

傷病の期間が、1ヵ月以上になると思われる場合には、事前にハローワークへ相談してください。また、申請手続きの時に、健康保険の種類を確認される場合がありますので、ハローワークに持参してください。

受給資格者本人が受給中に亡くなった場合

万が一、受給中に受給資格者本人が亡くなつた場合には、その人と生計を同じくしていたご遺族が、亡くなる日の前日までの失業保険(基本手当)等の支給を受けることができます。これを「未支給失業等給付」といいます。

この場合には、受給資格者本人が亡くなった日の翌日から6カ月以内に「未支給失業等給付請求書」を、ハローワークに提出してください。

教育訓練給付とは?

「教育訓練給付」とは、働く人の主体的な能力開発の取り組みを支援し、雇用の安定と再就職の促進を図ることを目的とする「雇用保険の給付制度」です。

教育訓練給付のは、「一般教育訓練に係る教育訓練給付」と「専門実践教育訓練に係る教育訓練給付」があります。

一般教育訓練に係る教育訓練給付

「一般教育訓練に係る教育訓練給付」は、働く人の主体的な能力開発の取り組みを支援し、雇用の安定と再就職の促進を図ることを目的とする雇用保険の給付制度です。

一定の要件を満たす雇用保険の被保険者(在職者も可)、または被保険者であった人が、厚生労働大臣の指定する教育訓練を受け、修了した場合、その受講のための受講者本人が、教育訓練施設に支払った教育訓練経費の一定割合に相当する額(上限あり)が支給されます。

一般教育訓練に係る教育訓練給付金の支給対象者は、以下の条件のいずれかに該当する人であって、厚生労働大臣が指定する教育訓練を受け、当該教育訓練を修了された人です。

一般教育訓練に係る教育訓練給付の支給対象者

  1. 雇用保険の被保険者(雇用保険の被保険者として在職中の人)【厚生労働大臣が指定した教育訓練の受講を開始した日において、支給要件期間が3年以上あること】
  2. 雇用保険の被保険者であった人【受講開始日直前の被保険者ではなくなった日が、受講開始日以前1年以内であり、受講開始日における支給要件期間が3年以上あること】

一般教育訓練に係る教育訓練給付の支給額

対象教育訓練を受け、修了した場合、その受講者本人が教育訓練実施者に対して支払った教育訓練経費の20%に相当する額の支給を受けることができます。

ただし、その20%に相当する額が10万円を超える場合の支給額は10万円として、4,000円を超えない場合には、教育訓練給付金の支給を受けることはできません。

専門実践教育訓練に係る教育訓練給

「専門実践教育訓練に係る教育訓練給付」は、働く人の主体的で、中長期的なキャリア形成を支援し、雇用の安定と再就職の促進を図ることを目的とする雇用保険の給付制度です。

一定の要件を満たす雇用保険の被保険者(在職者も可)、または被保険者であった人が、厚生労働大臣の指定する教育訓練を受け、修了した場合、その受講のための受講者本人が、教育訓練施設に支払った教育訓練経費の一定割合に相当する額(上限あり)が支給されます。

また、当該給付を受け付けている人については、訓練を受け付けている期間で、失業状態である日について基本手当の日額に相当する額の80%の教育訓練支援給付金を受けられる場合があります。

専門実践教育訓練に係る教育訓練給付の支給対象者は、以下の条件のいずれかに該当する人であって、厚生労働大臣が指定する教育訓練を受け、当該教育訓練を修了された人です。

専門実践教育訓練に係る教育訓練給の支給対象者

  1. 雇用保険の被保険者(雇用保険の被保険者として在職中の人)【厚生労働大臣が指定した教育訓練の受講を開始した日において、支給要件期間が3年以上あること】
  2. 雇用保険の被保険者であった人【受講開始日直前の被保険者ではなくなった日が、受講開始日以前1年以内であり、受講開始日における支給要件期間が3年以上あること】

専門実践教育訓練に係る教育訓練給付の支給額

専門実践教育訓練に係る教育訓練給付金の支給額は、以下の表の通りとなります。

支給額 専門実践教育訓練の受講中 専門実践教育訓練の修了後

支給額の計算式

(受講者が支払った教育訓練経費 × 右欄の割合)

50%

ただし、4,000円を超える場合。120万円を超える場合:120万円

資格取得等をし、かつ修了した日の翌日から1年以内に被保険者として雇用された場合。

70%

ただし、4,000円を超える場合。168万円を超える場合:168万円(すでに支給した左欄の額との差額が追加支給されます)

雇用継続給付とは?

雇用保険の給付の中には、在職中に支給される「雇用継続給付」という制度があります。再就職できた後に、支給の対象となる場合がありますので、紹介しておきます。

この「雇用継続給付」には、「高年齢雇用継続給付」「育児休業給付」および「介護休業給付」があります。

なお、雇用継続給付の支給申請等の手続きについては、再就職した先の事業主を経由して行うことになります。

高年齢雇用継続給付とは?

高年齢雇用継続給付は、65歳までの雇用の継続を援助するために、一定の要件を満たす60歳以上65歳未満の雇用保険の被保険者の人’(在職中の人)に支給されます。

「高年齢雇用継続給付」には、「高年齢雇用継続基本給付金」「高年齢再就職給付金」の「2種類」があります。

高年齢雇用継続基本給付金とは?

「高年齢雇用継続基本給付金」は、雇用保険の基本手当等(再就職手当等の基本手当を支給したとみなされる給付を含む)の支給を「受けていない人」が支給の対象となる給付金です。

高年齢雇用継続基本給付金の支給要件

  1. 60歳以上65歳未満の被保険者であること
  2. 被保険者であった期間が通算して5年以上あること
  3. 60歳以後の各月に支払われた賃金額が、60歳到達時の賃金月額の75%未満に低下していること
  4. 60歳以後の各月に支払われた賃金額が、支給限度額(359,899円:毎年8月1日に変更となる場合があります)未満であること
  5. 各暦月の初日から末日まで被保険者として継続して雇用されていること
  6. 各暦月において育児休業給付または介護休業給付の支給を受けることができないこと

高年齢雇用継続基本給付金の支給金額

各月に支払われた賃金の「低下率(%)」(各月に支払われた賃金 ÷ 60歳到達時の賃金月額 × 100)に応じて、次の計算式により算定します。ただし、支給限度額等により、支給額が減額されたり、支給がなされないことがあります。

  • 低下率が61%以下の場合:支給額=各月に支払われた賃金額 × 15%
  • 低下率が61%を超えて75%未満の場合:支給額=各月に支払われた賃金額 × 15%~0%(低下率により一定の割合で逓減します)
  • 低下率が75%以上の場合:支給されません

※支給を受けることができる期間は、65歳に達する月までとなります。

高年齢再就職給付金とは?

「高年齢再就職給付金」は、受給資格に基づく基本手当の支給を受けた後、60歳到達時以後に、1年を超えて、引き続き雇用されることが確実であると認められる職業に就いたことにより、被保険者として雇用された人に対する給付金です。

基本手当の受給期間内に就職し、就職日の前日における基本手当の支給日数が100日以上ある場合が対象です。

高年齢再就職給付金の支給要件

  1. 60歳以上65歳未満の被保険者であること
  2. 被保険者であった期間が通算して5年以上あること
  3. 就職日の前日において、基本手当の支給残日数が100日以上あること
  4. 再就職後の賃金月額が、基本手当の算定の基礎となった賃金日額の30日分の額の75%未満に低下していること
  5. 再就職後の各月に支払われた賃金額が、支給限度額(359,899円:毎年8月1日に変更となる場合があります)未満であること
  6. 各暦月の初日から末日まで被保険者として継続して雇用されていること
  7. 各暦月において育児休業給付または介護休業給付の支給を受けることができないこと

高年齢再就職給付金の支給額

高年齢再就職給付金の支給額においても、基本的な考え方は「高年齢雇用継続基本給付金」と同様です。ただし、「低下率」は、60歳到達時の賃金ではなく、基本手当の基準となった賃金に比べて、再就職後の賃金が下がっているかどうかの計算をします。また、支給を受けることができる期間は、基本手当の支給残日数によって、以下の通りとなります。

  • 就職日の前日における基本手当の支給残日数が200日以上の場合:再就職後2年間
  • 就職日の前日における基本手当の支給残日数が100日以上の場合:再就職後1年間

上記の期間内に65歳に達した場合は、65歳に達した月までとなります。

※高年齢再就職給付金と再就職手当は併給できません。

年金との併給調節について

65歳未満の人に支給される特別支給の「老齢厚生年金」「退職共済年金」と「雇用保険の基本手当」は、同時には受けられません。基本手当を受給するために、「求職の申し込み」をすると、基本手当の受給が終了するまでの期間、老齢厚生年金・退職共済年金が、全額支給停止になりますので、注意してください。

育児休業給付とは?

雇用保険の被保険者(男女を問わず)が育児休業を取得した場合、一定の要件を満たすと「育児休業給付金」が支給されます。これを「育児休業給付」といいます。

介護休業給付とは?

雇用保険の被保険者(男女を問わず)が、その家族を介護するため介護休業を取得した場合、一定の要件を満たすと「介護休業給付金」が支給されます。

国民健康保険料(税)の減額

最後に、「会社都合退職者」には有難い、「国民健康保険料が減額される場合」について説明します。

倒産や解雇などによる離職(特定受給資格者)や、雇い止めなどによる離職(特定理由離職者)をされた人の「国民健康保険料(税)」が軽減されます。

「国民健康保険料(税)」軽減の「対象者」

  1. 離職日の翌日から翌年度末までの期間において、雇用保険の特定受給資格者(倒産・解雇などによる辞職)として求職者給付を受ける人
  2. 離職日の翌日から翌年度末までの期間において、雇用保険の特定理由資格者(雇い止めなどによる辞職)として求職者給付を受ける人

※高年齢受給資格者および特例受給資格者の人は対象となりません。

「国民健康保険料(税)」軽減の「軽減額」

  • 国民健康保険料(税)は、前年の所得などにより算定されます。軽減は、前年の給与所得を、その「30/100」とみなして行います。

「国民健康保険料(税)」軽減の「軽減期間」

  • 離職日の翌日から翌年度末までの期間です。

※国民健康保険料(税)の軽減を受けるには、届出が必要です。詳しくは、お住まいの市町村の「国民健康保険担当」にお問い合わせください。

まとめ

今回は、「雇用保険の基本手当(失業手当)」について、解説してきました。

会社を退職した経験がない人には、少しイメージしずらいかもしれませんが、しっかり理解して、「失業保険」の手続きを進めてくださいね。

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