< 第88回 物件購入の判断ポイント |不動産投資の費用について
記事のポイント
- 木造建築の耐用年数は22年と定められている。
- 古い建物だからといって、必ずしも品質が劣るとは限らない。
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建物の寿命はメンテナンス次第
一般的に、木造建築の耐用年数は22年と言われています。実際、減価償却によって木造建物の耐用年数は22年と定義されており、不動産鑑定や税金の計算も同様です。
しかし、この22年という数字には、実は特に根拠がないのです。戦後間もない時代であれば納得できるのですが、今は日本の建築技術は大きく進歩しています。
建物が古いからと言って、品質が劣っているわけではないのです。もし、建物の寿命について悩んでいるお客様がいらっしゃったら、メンテナンス次第であることをお伝えください。
ただし、建物の築年数は、住宅ローンの借入期間に影響します。住宅ローン控除は築20年までとされていますが、下表の条件のいずれかを満たせば、耐震基準に適合しているとみなされ、住宅ローン控除が適用されるのです。
住宅ローン控除を受けるための3つの方法
1 | 耐震基準適合証明書を取得 | 国土交通大臣が定める耐震基準に適合していることについて、建築士等が証明したもの |
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2 | 既存住宅性能評価書(耐震等級1以上)を取得 | 既存住宅性能評価において、耐震等級1以上が確認されたもの |
3 | 既存住宅売買瑕疵保険に加入 | 住宅瑕疵担保責任保険法人による中古住宅の検査と保証がセットになった保険(既存住宅売買瑕疵保険)に加入していること。同保険への加入には現行の耐震基準に適合していることが要件とされている |
耐震性の必要性
耐震基準に適合していない住宅の場合、耐震基準適合証明書などの書類を取得することができません。その場合、住宅ローン控除を受けるためには、耐震工事をしなければなりません。
厄介なのは、地震が発生するタイミングが予測できないことです。いつ来るかわからない地震の被害よりも、耐震補強工事の費用の方が現実的なので、躊躇する人もいます。
日本の法律では、住宅の耐震改修は義務ではありません。地震防災というと、避難グッズや家具の転倒防止などを思い浮かべるかもしれません。しかし、地震で家が倒壊すれば、それだけで自分や家族が大きな危険にさらされることになります。耐震基準を満たしていない中古住宅を購入する際は、耐震改修の費用が発生することを前提に取引を進めることをお勧めします。
中古住宅の流通が活性化されます。
中古住宅の流通量は、新築住宅に比べ少なくなっています。そこで、中古住宅の流通を促進するために、建物状況調査に端を発する建物状況調査の有無を契約書に記載するようになりました。今後は、古くても良い物件は正当に評価されるようになるでしょう。
建物状況調査
国土交通省が定める講習を修了した建築士が、建物の基礎、外壁などの主要構造部や雨水の浸入を防止する部分の劣化状況やひび割れ、雨漏りなどの不具合を把握するために行う調査です。
結論
- 建物の築年数が古いと融資期間に影響する
- 日本の法律では、住宅に耐震性を求めることはできません。
- 耐震化は命に関わることなので、コスト面を考えて躊躇しない方が良い。