<<第48回:【遺言の役割】遺言でできること【法的効力・特別方式・普通方式・何を書く?】
ここが大切!
- 自筆証書遺言は手続きの手間がかからず、自由に書ける。
- 開封する前には家庭裁判所の検認が必要。
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自分に合った遺言は何かを考える
遺言には、一般的に「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。
①自筆証書遺言
遺言書の全文を書き、署名・捺印する必要があります。コンピュータで書いたものは認められません。書いた遺言書は、封筒に入れて封をし、案内状を添えて、各自が保管するか、貸金庫、弁護士、推定相続人、遺言執行者に預けてください。
開封したら、家庭裁判所で遺言書の検認を受けなければなりません。書類に不備があると、遺言は無効となります。
②公正証書遺言
公証人が作成するため、最も信頼性の高い遺言書といえます。
遺言は自筆が大原則ですので、自筆が難しい場合は公正証書遺言を作成することをお勧めします。公正証書遺言は、公証役場で作成するか、公証人が自宅や病院に出張して作成することができます。公証人は遺言者の署名に代えて、遺言書に署名することが法律で認められています。
③秘密証書遺言
遺言の存在は明らかにするが、遺言の内容は秘密にするという遺言です。代筆やパソコンでの作成も可能ですが、遺言者本人が署名・捺印する必要があります。遺言書に押された印鑑と同じ印鑑で封をし、公証人と証人2人に、自分の遺言書であること、自分の氏名、住所などを記載して提出します。公証人が封紙に日付と記載事項を書き、公証人、遺言者、証人がそれぞれ署名・捺印します。
遺言書は、遺言者が保管するか、弁護士、推定相続人、遺言執行者などに預けて、貸金庫に保管することができます。開封した場合、遺言書は家庭裁判所で検認を受けなければなりません。書類に不備があると、遺言は無効となります。
遺言の種類と比較
自筆証書遺言 | 公正証書遺言 | 秘密証書遺言 | |
---|---|---|---|
作成者 | 本人(全文自筆) | 公証人 | 本人(代筆・パソコン可) |
証人 | 不要 | 必要 | 必要 |
作成費用 | 不要 | 必要 | 必要 |
家庭裁判所の検認 | 不要 | 不要 | 必要 |
保管 | 本人か誰かに依頼 | 公証人が原本を保管 | 本人か誰かに依頼 |
方式不備の危険性 | ある | ない | ある |
偽造・変造・破棄・隠匿の危険性 | ある | ない | ある |
自筆証書遺言の作成上のルール
自筆証書遺言の良いところは、自由に書けることです。まず、思いついたことを書き出す。そして、考えを整理し、清書する。自筆証書遺言の作成には、次のようなルールがあります。
- 全文を自分で書く
書類はすべて遺言者本人の手書きでお願いします。パソコンは不可。遺言書は縦書き、横書きのどちらでも構いません。筆記具は、鉛筆は改ざんされやすいので、ボールペンか万年筆を使用すること。紙も自由に使用できます。
- 日付、署名、押印を必ず入れる
日付は西暦でも元号でも構いませんが、「吉日」「誕生日」は不可です。印鑑は実印でも認印でもかまいませんが、ゴム印やスタンプ印は不可です。
署名は、原則として戸籍上の遺言者名とします。遺言者の氏名がペンネームや芸名など広く使われている場合でも有効です。
- 訂正の方法
変更する箇所に二重線を引き、訂正箇所を記入または削除し、押印してください。また、書類の余白に追加・削除の変更箇所を記入し、その後に自筆で署名をすることが必要です。
- 2枚以上になった場合
2枚以上の場合は、各紙の間に契約印を押印し、ホッチキスでとめる。
- 封筒に入れ、封印する
遺言書が完成したら、封筒に入れ、封をします。封をした封筒の表には「遺言書」等と刻みます。
- 内容は家族の理解が得られるものに
自分の死後、家族間で相続争いが起きないように、生前に家族で相続について話し合っておくのが理想的です。それができない場合でも、遺言の内容が特定の相続人に極端に有利・不利にならないような配慮が必要です。
- 遺言書の保管場所
保管場所は、普段は家族の目に触れない場所でありながら、遺産分割協議の際にチェックされるような場所を選びましょう。例えば、書斎の鍵のかかる引き出しや金庫などです。また、信頼できる知人に預けたり、エンディングノートなどに金庫の場所を書いておくという方法もあります。
無効となる自筆証書遺言の例
自筆証書遺言を入れる封筒
トラブルの元となる遺言の内容
>>第50回:【遺言の役割】公正証書遺言を作成する【公証人・公正証書・公証役場・公正証書遺言の作成要件・手数料と費用・作成方法・手続き方法】