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過重労働の防止対策とハラスメント対策

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過重労働の防止対策とハラスメント対策

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過重労働の防止対策

この記事のポイント
  • 「過重労働」とは、一般的には「心身の健康を害しかねない長時間労働」を意味する
  • 具体的な防止対策を講じる前に、まず、経営トップ以下、会社として本気で取り組み、過重労働を根絶させることを宣言·表明する
  • 衛生委員会等を活用して対策を講じ、PDCAサイクルを継続的に回していく
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過重労働対策の重要性

「過重労働」という言葉に法的な定義はありませんが、一般的には「心身の健康を害しかねない長時間労働」をいいます。

長時間労働が続くと、脳·心臓疾患を発症するリスクが高まったり、メンタルヘルス(心の健康)を害することが医学的に知られています。

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また、過重労働で疲労が蓄積すると、重大な労働災害につながることがあります。

当然、労働生産性の悪化、労働基準監督署の調査、プラック企業という悪評などにより、会社経営にも負の影響を及ぼすと考えられます。

したがって、労使ともに過重労働の防止に努めていくことが求められています。

防止対策の取組み

具体的な防止対策を講じる前に、経営トップ以下、会社として本気で取り組み、過重労働を根絶させることを宣言·表明します。

会社としての意気込み(本気度)を従業員に伝えることはとても重要です。

そのうえで、下表に挙げたような取組みを実施していくことになります。

具体的な実施体制としては、職場の管理監督者や労働者代表、衛生管理者、人事·労務担当者などがメンバーとなり、衛生委員会等を活用しながら取り組むとよいでしょう。

また、取組みについては、PDCAサイクルを回して継続的にブラッシュアップし、効果的な仕組みにしていくことが大切です。

過重労働防止のための取組み

計画·対策の策定(Plan) 労働時間を適正に把握して実態確認をしたうえで、36協定の限度時間の遵守·徹底、変形労働時間制の導入、年次有給休暇の取得促進、医師の面接指導などの計画・ルールを検討·策定する
対策の実施(Do) 策定した計画·ルールに基づき、人事·労務担当者や各部門の管理監督者が連携して具体策を実施する
実施内容の検証(Check) 長時間労働の有無、面接指導の件数、産業医や各部門の管理監督者の意見などを参考に、衛生委員会等で計画·対策を評価する
問題点の改善(Act) 検証による評価に基づき、改善案の検討、計画·ルールの見直しを行なう

従業員の協力・取組み

会社が講じる対策については、従業員の協力と積極的な取組みが不可欠です。

従業員は、会社のルールを遵守することは当然として、長時間労働は悪であるという認識を共有したうえで、各自の業務や役割について無駄を省いたり、効率的に遂行するなどして、労働時間の短縮に努めていく必要があります。

なお、労働者のセルフケアとして、厚生労働省では、労働者自身の疲労蓄積をチェックするツールである「労働者の疲労蓄積度チェックリスト」を用意しています。

過重労働防止対策の一環として、活用してみるとよいでしょう。

ハラスメント対策①

この記事のポイント
  • セクハラやパワハラが会社で発生すると、会社全体に大きな影響が生じる
  • セクハラに当たるかの判断は容易ではないが、疑われる言動も控えるようにすべき
  • パワハラなのか必要な指導なのかの線引きが難しいが、従業員への言動が人格攻撃にならないように注意が必要

職場でセクハラ(セクシュアルハラスメント)やパワハラ(パワーハラスメント)といったハラスメントが起こってしまうと、ハラスメントの被害者がうつ病などになってしまったり、会社を辞めてしまったりするだけでなく、加害者もそれまでどおり働き続けることは難しくなります。

さらに、直接の被害を受けていない従業員のモチベーションも下がり、離職率が高くなることがあります。

このように、ハラスメントの影響は非常に大きく、会社はハラスメントが起こらないように適切な対策を取ることが必要です。

セクハラとは

職場におけるセクハラとは、職場で行なわれる従業員の意思に反する性的な言動に対する当人の対応によって、言動をした側が不利益を与えたり、性的な言動によって従業員の就業環境が害されたりすることです。

何をもって「性的な言動」であるとするかが問題となりますが、これは多くの人が不快感をもつ性的な発言や言動であるかにより判断されます。

そうはいっても、セクハラに当たるかについて明確に線引きをすることは容易ではなく、判断に迷うこともあるかもしれません。

もっとも、セクハラを防止するという観点からは、セクハラに当たる可能性がある言動を一切しない·させないことに尽きます。

業務を行なうために性的な言動が必要であることは一般的には想定しがたく、また、性的な言動がなくても業務は滞りなく進められることが通常ですので、従業員が職場で性的な言動と疑われる言動を一切しないように指導していくことが重要です。

パワハラとは

パワハラとは、職場において行なわれる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものです。

具体的には、以下のようなものが該当します。

パワハラに該当する言動

身体的な攻撃 殴る、蹴るなど
精神的な攻撃 罵倒する、怒鳴りつけるなど
人間関係からの切り離し 無視する、別の部屋に隔離するなど
過大な要求 無理なノルマを課すなど
過小な要求 簡単な作業を延々とさせるなど
個の侵害 プライベートな事情を暴露するなど

パワハラで問題となるのは、何が「業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの」なのかという点です。

これは、適切な指導とパワハラを線引きすることの難しさと言い換えることもできます。

このような判断の難しさから、上司が委縮して適切な指導をしなくなってしまい、従業員教育の機会が失われてしまうことも起こり得ます。

指導を行なう際には、あくまでも従業員の行為に向けて指摘·指導をするようにし、従業員の人格に向けた言動をしないようにすることが肝要です。

人格攻撃になってしまうと、それはもはや指摘·指導ではなくパワハラになってしまいますので、このような言動が行なわれないよう注意することが、会社には求められます。

ハラスメント対策②

この記事のポイント
  • ハラスメントが発生しないように防止策に取り組むことが必要
  • ハラスメント防止策のなかでも、社内セミナーなどによる従業員教育が最重要事項
  • ハラスメントが起こってしまった場合のポイントは、①早期発見、②被害の継続·拡大の防止、③正確な事実調査と処分

ハラスメント対策のポイントとしては、ハラスメントが起こらないように事前に防止策を取ることに加えて、ハラスメントが起こってしまった際に迅速に対応することが挙げられます。

ハラスメントの防止策

ハラスメントが起こってしまうと大きな影響が生じてしまいますので、防止策を講じておくことが何より重要です。

ハラスメントの発生を防ぐためには、次のような対策が必要です。

ハラスメント防止策

①経営者の意識改革 経営者がハラスメント防止の意識をもつ
②現状の把握 ハラスメントの発生状況について確認する
③方針の策定 ハラスメント防止のルールをつくる
④従業員への教育 従業員にハラスメント防止のための教育をする
⑤相談窓口の設置 ハラスメント発生時に早期に対応できるようにする

このなかでも重要なのは、④従業員への教育です。

会社がハラスメント防止のためのルール·規程を作成することは重要ですが、それを従業員が理解し、実践しない限り、ハラスメントは起こり得ます。

従業員一人ひとりが、何がハラスメントに当たるのか、ハラスメントをしないためにはどうしたらよいのかを考えることが大切です。

従業員への教育の方法としては、ハラスメント防止のために作成したルールを説明する社内セミナーを開催するとよいでしょう。

その際には、通り一遍の説明で終わるのではなく、ディスカッションやロールプレイも組み込むと従業員の理解が深まり、より効果的です。

弁護士などの外部の専門家に協力を依頼してもよいでしょう。

ハラスメント発生時の対応

どれほど防止策を講じていても、ハラスメントが発生してしまうことはあります。

このときに重要なことは、迅速·適切な対応をすることです。

ハラスメント発生時の対応のポイントは、①早期発見、②被害の継続·拡大の防止、③正確な事実調査と処分です。

ハラスメントが発生した場合でも、早期に発見できれば、影響が大きくなる前に是正することが可能になりますので、相談窓口の設置などによりハラスメントを早期に発見できる体制をつくっておくことが重要です。

そして、ハラスメントが発見された場合には、被害者と加害者が接触しないような措置(異動など)を取ることにより、被害の継続·拡大を防ぐことが必要です。

そのうえで、会社は、正確な事実調査と処分を行なうことになります。

調査については、被害者と加害者の主張を聞くだけではなく、周囲の第三者からの聞き取りやEメールなどの客観的な資料も確認することが必要です。

そして、調査結果を踏まえて、必要に応じて懲戒処分や指導を行ない、再発することがないようにします。

なお、ハラスメント対応は専門的な事柄も少なくありませんので、弁護士などの専門家に相談することも検討するとよいでしょう。

注意
紹介している情報は、2021年4月時点の情報です。現在は変更になっている場合もありますので、詳細は、「公式サイト」にて、ご確認ください。

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